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京都地方裁判所 平成元年(わ)1092号 判決

本店の所在地

京都市山科区西野小柳町三八番地の三

法人の名称

株式会社シカタセントラル

代表者の住居

同市山科区音羽山等地四一番地の一

代表者の氏名

志方義司

本籍

京都市上京区大宮通丸太町下る藁屋町五三六番地

住居

同市山科区音羽山等地四一番地の一

会社役員

志方義司

昭和一二年四月一日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官小野公夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社シカタセントラルを罰金一五〇〇万円に、被告人志方義司を懲役一〇月に処する。

被告人志方義司に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社シカタセントラル(以下「被告会社」という。)は、京都市山科区西野小柳町三八番地の三に本店を置き不動産賃貸業等を営むもの(昭和四四年一二月一日、袋物製造卸販売業等を目的とする志方袋物工業株式会社として設立され、同六二年一二月一日以後、目的及び商合変更されたもの)、被告人志方義司は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人志方は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一  昭和五九年九月一から同六〇年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が七五三一万八九八〇円で、これに対する法人税額が二四九三万九三〇〇円であるのに、架空の材料仕入れを計上するなどの行為により所得の一部を秘匿した上、同六〇年一〇月三一日、京都市東山区馬町通東大路西入新シ町所在の所轄東山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四八七三万〇〇三三円で、これに対する法人税額が一三四四万二五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税一一四九万六八〇〇円を免れ、

第二  同六〇年九月一から同六一年八月三一日までの事業年度における実際の所得金額が二億一一〇九万七三二〇円で、これに対する法人税額が八二六〇万一一〇〇円であるのに、前同様の行為により所得の一部を秘匿した上、同六一年一〇月三〇日、前記東山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一億〇九五三万八二八四円で、これに対する法人税額が三八六四万五二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税四三九五万五九〇〇円を免れ、

第三  同六一年九月一から同六二年八月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億二二六三万三六八一円で、これに対する法人税額が三一七七万八五〇〇円であるのに、前同様の行為により所得の一部を秘匿した上、同六二年一〇月三〇日、前記東山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七六三二万九二六四円で、これに対する法人税額が一二三五万二四〇〇円である旨の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税一九四二万六一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実

一  被告人の、(1)当公判廷における供述、(2)大蔵事務官に対する各質問てん末書、(3)検察官に対する各供述調書

(検56、57)

一  検察事務官の捜査報告書(検8)

一  大蔵事務官作成の査察官調書二通(検9、10)

一  加藤忠雄(検15)、辻正宏(検21、22)、角田雅司(検24、25)、柳原昭三、今井芳雄(検29、30)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  加藤忠雄、辻正宏の検察官に対する各供述調書

一  京都地方法務局登記官の各登記簿謄本

一  京都上京区長の戸籍謄本

判示第一事実

一  東山税務署長の証明書(検2)

一  大阪国税局収税官吏の脱税額計算書(検5)

判示第二事実

一  東山税務署長の証明書(検3)

一  大阪国税局収税官吏の脱税額計算書(検6)

一  大蔵事務官の査察官調書(検12、14)

一  加藤忠雄の大蔵事務官に対する質問てん末書(検17、18)

判示第三事実

一  東山税務署長の証明書(検4)

一  大阪国税局収税官吏の脱税額計算書(検7)

一  大蔵事務官の査察官調書(検10)

一  谷茂樹、萩原充則の大蔵事務官に対する質問てん末書

判示第二及び第三事実

一  大蔵事務官の査察官調書(検13)

一  加藤忠雄の検察官に対する供述調書(検20)

一  志方郁二、岩田優、新井康友、矢武正年、加藤忠雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検31ないし35)

一  被告人の、(1)大蔵事務官に対する各質問てん末書(検44、49、50)、(2)検察官に対する供述調書(検58)

(法令の適用)

被告人志方義司の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により最も重いと認められる判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

更に、被告人志方義司の判示各所為はいずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社に対しては法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑を科すべきところ、情状により同条二項を適用し、その金額の範囲内で被告会社を罰金一五〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 久米喜三郎)

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